・すあわせ [素袷]

着物の着方の一つ。長襦袢を着ないで、肌着の上に粋に袷を着ることをいう。

・ずあん [図案]

模様、色彩、配置などの案を図の上に表したもの。いわゆるデザインであるが、着物の業界では昔ながらの「図案」の語を用い、図案を表す人を図案家という。

・すいかん [水干]

昔の庶民の服装で、紗、精好(せいごう)、練平絹などが用いられた。

・すいせんかもん [水仙花文]

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・すいしゃ [粋紗]

絹織物の一つ。紗とはいっても、平織りの絹織物である。玉糸の撚り糸を用いた薄地で、紬の風合いを持つ夏用の先染着尺地。

・すいと [素糸]

織物を製造する際に絹糸一本をそのまま使用するものをいう

・すいり [素入]

筬(織機の経糸を通す装置)の目(羽という)一つに素糸一本を通すことをいい、これによってできるものはあまり糸を多く使わない値頃品の織物である。

・すおう [蘇芳]

植物染料の一つ。東インド原産のマメ科の小潅木で、日本、フィリピン、ブラジルなどで栽培される。木質部に赤色色素を含み、錫塩やみょうばんなどの媒染剤で赤に、クロム塩剤で海老茶色に、鉄塩類で褐色に染色される。日本には上代から大量に輸入され、単独で、あるいは他の色と交染して用いられた。平安朝文学にもよく登場する色名である。
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・すおう [素襖]

直垂から派生して形成された男性の衣服で、麻地に家紋を染め出した上衣と袴からなる。胸紐や菊綴じは革で、腰紐は共裂で作る。室町時代は下級武士の平常服であったが、江戸時代には武士の礼服となった。

・すがいと [菅糸]

練る前の、生糸一本のままの状態の糸のこと。生糸の桛(かせ)糸に対する方言。

・すがき [素描]

無線友禅ともいう。染料液を含ませた筆や刷毛で生地に直接、絵画のように自由に多彩な色で描き染めた友禅。挿友禅(本友禅)のように糸目がないのでこの名がある。

・すかしおり [透し織]

生地が透けるように薄く絡み織りで織った絹織物の総称。「絽」「紗」およびこれらの織り方が混合した織物で、夏季用の帯地、着尺地などに多く用いられる。

・すがぬい [菅繍]

刺繍技法の1つ。布地の緯の目に沿って糸を渡し、これを細糸で留める技法。

・すぎあやおり [杉綾織]

織物組織の名。綾織の変化で、織りあがった布面に綾が山形に連なる様子から、この名がある。

・すきもんしゃ [透文紗]

平織地に紗で文を作る、つまり文様部分が地よりも薄く、文様が透けて見える紗。下に着る衣の色で文様が浮かび上がる。衣紋道高倉流ではこれを「顕文紗」と呼ぶらしくややこしい。

・すきや [透綾

織物の名称で「すきあや(透き綾)」の転。薄地の絹織物のこと。新潟県十日町地方に産した夏季用着尺であったが今はあまり見られない。元は、縦糸に絹糸、横糸に苧麻(ちょま)糸を織り込んだが、今は縦横ともに生糸を用い、また、配色のために半練り糸や練り糸をも混用する。 非常に薄く、さらりと肌ざわりがよい。糸や織り方によって平透綾(ひらすきや)・壁透綾・絽透綾(ろすきや)・通風透綾・縮緬透綾・より透綾・透綾明石・透綾経綸などの種類がある。
 「越後透綾」,「絹上布」とも呼ぶ。江戸末期の文政年間(1818~1830)、京都西陣の宮本某が越後国(現:新潟県)十日町で創製下とされる。

・すくい

すくいは、木製の舟形をした織機用具の杼(ひ)に緯(よこ)糸を通して、経糸をすくいながら下絵の模様に織っていく技法で、綴織に近いものです。とても細かな作業で、根気がいる仕事だそうです。表と裏はありますが、両面使うことができます。多くのすくいの帯は紬糸で織られた、しゃれ帯です。

・すくいぐけ

縫う時と同じ手つきでくける縫いぐけに対して、すくうようにくけるくけ方。縫いぐけより技術的に劣る、初心者向のくけ方である。

・すくいどめ [抄い留め]

縫い終りでごく小さく一針布を抄い、玉留め(針先に3~4回糸を巻き引き抜き、糸にしっかり撚りをかけること)すること。

・すくりーんなっせん [スクリーン捺染]

手加工捺染法の一種。枠に紗布を張り防水性の皮膜で模様を作り、これを捺染する布の上において、その上から色糊をゴムへらで捺染する。従来の型紙捺染法よりも少量の色糊でかつ模様も複雑、精巧なものが得られるのに加えて捜査や設備も簡単に済む利点があり、近来は広く用いられている。

・すじ [筋]

細長く線が通ったもの。転じて縞の意があり、千筋、万筋は代表的なものである。

・すすきもん [薄文]

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・すずし [生絹]

経緯とも生糸で織った布。これを「後染織物」とも呼ぶこともあるが、正確な呼称ではない。精錬した布は「練絹(ねりぎぬ)」。 精錬していない生糸で織った生絹は、堅く張りのある風合いをもち、紗のように薄く、かつ軽いのが特徴。様相の素材でいうならオーガンジーです。主に仏前の生じ張りなどに用いられていた生絹ですが、最近はこれらの特徴を生かし、夏用のきもの地やスカーフなどが作られています。精錬した柔らかな風合いとはまた一味異なる、張りのある爽やかな質感に人気があります。

・すずめもん [雀文]

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・すずはく [錫箔]

錫でできた箔のこと。金銀箔と同じようとで用いられる。その製造法は同じだが、量目は金、銀箔に比べて15%以上重い。

・すそ [裾]

衣服の下の縁で、着装すると、ひざや足首に接する部分。また、衣服自体の裾と、着装姿の裾とがある。

・すそあげ [裾揚げ]

蹴出し(けだし)のこと。

・すそあわせ [裾合わせ]

和裁用語。和裁の部分縫いの一つで、袷や綿入れの仕立てのときに、表と裏の丈を合わせて裾を縫うことをいう。

・すそご [裾濃]

ぼかし染めで、裾に行くにつれて濃くなる染め方。子ども服としての水干袴などに見られる。

・すそしん [裾芯]

裾のふきにふくらみを持たせる為に入れる芯。布芯、真綿芯等がある。羽織等の裾輪をしっかりさせる為に裾に入れる芯をいうこともある。

・すそさばき [裾捌き]

きものの裾が、歩くときに乱れたりからんだりしないような足のこなし。また、歩いているときの裾の布のまつわり具合を「裾さばきがよい(わるい)」などと表現する。

・すそとじ [裾綴]

和裁用語。和服長着の衿、綿入れの裾袘(すそふき)が崩れないように、表裾の折山から0.5cmほど入ったところを表と裏を綴じ合わせること。普通一方の袘目(ふきめ)より他方の衽(おくみ)縫い目まで表裏ともにきわめて小さい針目で裏には表の一つおきに出すように綴じる。

・すそふき [裾袘]

(ふき)のこと。

・すそまわし [裾回し]

袷の長着の裏地で「八掛」ともいう。「八掛」とは衽・前身頃・後身頃の裾と衿先の裏の、左右二枚ずつをいう。のちに袖口にも同じ生地を用いるようになり現在にいたる。裾回し以外の裏は胴裏。生地は表地が絹物の場合は羽二重、錦紗など、普段着には富士絹、メリンス、人絹、化繊などをつける。

・すそもよう [裾模様]

婦人の小袖の模様配置、及びその模様配置をもつ礼服。18世紀になってから裾だけに模様のある小袖ができた。江戸末期には京・大阪・江戸とも婦人の礼服は黒定紋付か裾模様となる。
柄のつけ方からの名称 画像と解説はこちら

・すそよけ [裾除け]

蹴出しのこと。明治以降に出来た名称と考えられる。肌に腰巻をつけて、その上にさらに巻いて用いた物。多くは縮緬を用いた。色は、白・緋・桃色・水色等が有り、模様を染めた物もある。

・すそわた [裾綿]

和裁用語。袷長着の「裾ふき」の形を整え裾綿をふっくらさせるため、ふきの部分にのみ含ませる綿をいい「ふくみ綿」ともいう。

・すてーぷるふぁいばー [ステーフルファイバー]

略して「スフ」ともいう。「人造絹糸」と同じものであるが、人絹糸が生糸のように一条の長い連続糸となっているのに対し、これを一度切断し綿状としたものを紡績機械によって糸としたものである。人絹糸が生糸の代用とされるのに対し綿糸、麻糸などの紡績糸の代用として用いられたが、最近は人絹糸同様、品質は向上し独特の製品をつくるまでになった。

・すてむじ [捨無地]

紋織帯地などにおいて「界切り」から端の無地の部分をいう。

・すてんしるぞめ [ステンシル染]

手加工捺染法の中の「型紙捺染」の変型で、型紙を使わず木製あるいは鋼製の板に模様を彫りぬき、これを生地にあてて刷毛で染液をすり込むもの。

・すなご [砂子]

金銀箔の粉末。金箔や銀箔の粉末を、接着剤を用いて布地に細かくまきつけ、模様を表す。漆の蒔絵や日本画などの手法を、染織品に応用したものである。立体感があり、まきぼかしもできるので、箔置きや、揉み箔とは違った効果があり、花嫁衣裳や振袖、留袖などの豪華な柄ゆきのものに多く用いられる。金箔の粉末を金砂子、銀箔の粉末を銀砂子という。

・すなごはく [砂子箔]

本金や銀箔の粉末を塗布したもの。

・すぬい [素繍]

地色を引染またh、浸染で無地染やぼかし染にしたものに、刺繍で模様を表現したものをいう。

・すはまもん [洲浜文]

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・すばり [素張]

生地に淡い糊を施してしわ、縮みを伸ばし幅を一定にそろえるためにする作業のことをいう。色染の前工程として行われる。布海苔または澱粉粉に桃仁の絞り汁、グリセリンなどを適宜に加え煮溶かした糊を濾して、濃度を加減しながら刷毛で引き、乾燥後槌で打ってやわらかくする。

・すみうち [墨打]

身丈(みたけ)、袖丈(そでたけ)、等の寸法をはかって生地に墨で印をつけることをいう。

・すみがき [墨描き]

本来は日本画の技法の1つで、墨一色で描いたものを指す。辻が花染など、墨の描線を効果的に用いたものがある。古くから小袖染色の技法に用いられている。

・すみながし [墨流し]

模様染めの一種。水面に墨汁を落とし、棒でかきまわたり、吹き乱したりして、複雑な曲線の模様をつくり、その上に布を置いて模様を写し取って仕上げる。浮かし染ともいう。現在では黒だけでなく樹脂染料を用いて着尺、帯揚げ、半衿、胴裏などに用いられている。

・すみながし [墨流し]

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・すみのくらぎれ [角倉切]

金襴の名物裂。日本で製織との説もあるが、京都の旧家角倉家の所蔵品。ビロード地に金で花、兎、作り土をあしらったもの。 角倉金襴のページへ

・すりえ [摺絵]

型染の1つで、型を用いて模様を布に染め付ける技法。木製の凸型を用い、染料や顔料を布地に摺り描いたもの。

・すりぎぬ [摺衣]

草木花鳥などの形をすり染めた衣の総称。すりごろもともいう。信夫摺、小松摺、紫の根摺、萩の花摺、黄土(はに)摺、山藍摺、榛摺(はりずり)など。

・すりこみかすり [摺込み絣]

主として白絣に用いる。解絣(ほぐしがすり)。解し織を参照。

・すりこみぞめ [摺込み染]

摺り染めともいう。布の上に模様を彫った型紙を置き、丸刷毛に染料を含ませて、上から色を摺りこむようにして染める方法。ぼかしに染めることを、摺りぼかしという。

・すりこみもん [摺込み紋]

はじめに地に伏せ糊を置き、染料を刷毛につけ、模様の部分を型紙の上から摺り込むようにして染めた紋のこと。非常に繊細な線の表現やぼかしなども自由にでき、手挿し紋ともよぶ。

・すりはがし [摺りはがし]

金彩技法の1つ。模様などの上に箔を貼り、刷毛などですり、適度にはがして、下の模様などを透かせて見せる技法。

・すりはく [摺り箔]

布地に金箔や銀箔を、接着剤を用いて付着させること。まず、布地に糊を置き、乾かないうちに箔をのせ、綿や柔らかい刷毛で余分なものを落とす。箔押し、箔置きとも言う。古くから行われた文様装飾法。この技法は、室町時代の辻が花染や、能装束に用いられた手法で、現在では友禅染に用いられ、豪華な効果を出している。

・すりびった [摺疋田]

江戸時代の小袖によく見られる染色法の一つ。絞り染の疋田の形を型紙に彫り、これを布地にあて、染料をつけた刷毛で摺り込みながら模様を表す技法。きもの全体ではなく、模様の空間を埋める場合など、部分的に用いられることが多い。現代でも絞りとは異なった、軽快な感じが好まれる。

・すれ [摺れ]

繊維故障の1例。摩擦によって生ずる。布表面の光沢が部分的に異なる現象。

・すんぽう [寸法]

和裁用語としては、墨打ち寸法、注文寸法、裁ち切り寸法、へら付け寸法、仕上がり寸法がある。