こどもの着物のあげの仕方

肩上げと腰あげの寸法の決め方

【肩あげ】
初めにお子様の裄丈をはかります。手を水平に伸ばし、首の付け根から手のくるぶしの中心まで測り、プラス1~2cmします。きものの裄丈からお子様の裄丈(着裄丈と表示)を引いた残りの長さ分 Ⓐ が、肩上げをする寸法(あげの長さ)となります。

 

【腰あげ】
初めにお子様の着丈をはかります。背を伸ばし、首の付け根から足のくるぶしの隠れるところまでを測り、着丈(お子様の着物寸法=着付けしたときの丈)とします。きものの丈(身丈)から、着丈を引いた残りのながさ分Ⓑが腰あげをする寸法となります。

 ■ 肩上げ 上げをする前の前身頃
【肩あげ】

肩あげの位置は、肩幅×1/2のところ(背縫いの線=背中心から袖つけまでの幅=後ろ巾を二等分したところの中心)をあげ山にします。
肩上げの寸法  (上の図)の1/2があげの深さになります。

後ろ
肩山から袖つけ止まりの入りの位置まであげ山の縫い目をまっすぐ下ろし、あげ山をつまんで、肩山から袖つけ止まりまで、あげをします。

前はあげ山を袖つけ止まりのところで袖つけ側に1センチ少なくして、後ろと同じように肩山から袖つけ止まりまで、あげをします。
前後ろの違い
前のあげ山を袖つけ側に1センチ寄せて、あげの深さを後ろより1センチ少なくする理由は、きものを着たとき、胸周りの幅を広くしてゆとりをもたせて、衿あわせをよくするためです。

 

 ■ 腰あげ あげをする前の後ろ身頃
上げをする前の後ろ身頃

後ろ
肩山から着丈×6/10を測り、その位置をあげ山とし、あげ山を  とします。裾から着丈×4/10を測り、その位置を  とします。  と  の間が腰あげ寸法  (腰あげの分量)になります。あげ山の  を中心にして、上下に Ⓑ (一番上の図) ×1/2を測っておきます。
上を  、下を  とします。この  と  を縫い合わせると腰あげになります。あげ山の  を折り、折り山を  の上に重ねます。前身頃の衿先はこれよりも下位置になります。


前身頃は衿のところで脇(後ろ身頃のあげ山の位置)より2センチ下げ、あげの深さは後ろ身頃と同寸にして、脇のあげ山の位置と斜めに結びます。
前後ろの違い
前身頃のあげ山を後ろより2センチ下げる理由は、着付けをすると衿が多少後ろに下がり、前がつり上がるので、前後のあげ山をそろえてバランスをとり、着姿をかわいらしく見せるためです。
衿端のところでは、衽(おくみ)の上下の幅が違うため、あげ代がはみ出し見苦しくなるので、上前身頃は、衽(おくみ)広い部分をあげの内側でタックをとり、衿端を揃えます。下身頃はタックを取ると着付けをしたときにゴロゴロするので、1/2になるようにタックを取り、衿端からでるあげ代はそのままにしておきます。

 

 ■ 仕上がり図  
   
あげを終えた前身頃 あげを終えた後ろ身頃
   

 ■ 肩上げ
 
糸は縫い糸を用意して、2本取りにします。針目は2.5センチぐらいの間隔で、2目落としで縫います。
まず、表身頃を出し、袖を手前にして肩山の位置であげの深さ(肩あげ寸法の1/2)を測り、(1)のまち針を打ちます。

<後ろ>
肩山から袖つけ止まりまで、あげ山をまっすぐに、あげの深さを同寸につまみ、(2)のまち針を打ちます。
<前>
袖つけ止まりの位置で、あげ山を1センチほど脇に寄せ、さらにあげの深さを後ろより1センチ少なくして、袖つけ止まりに(3)のまち針を打ちます。

縫い始めは、袖つけ止まりのひと針手前から針を出し、肩山ではあげ代を落ちるつかせるために3針出し、縫い終わりは袖つけ止まりよりひと針戻して留めます。縫い始めと縫い終わりに返し針をしないでひと針出す理由は、転んだときや、袖や裾を引っかけた場合でも、両端の糸が多少伸びるために着物に負担がかからず、ほころびたり裂けたりしないようにするためです。
 
 ■ 腰あげ
表を出して裾を手前にし、あげ山(イ)をつまみ上げ、(ハ)と(ニ)の各縫い目を揃えてまち針を打ちます。衿の部分は、上前は衿端をきっちりと揃え、余分な部分はタックをとって始末します。下前は衿幅の1/2だけあげ代を出してまち針を打ち、肩あげと同じ要領で縫います。
衿端のひと針手前から針を出し、各縫い目の上はひと針返し針をして、縫い止まりはひとはり戻って針を止めます。あげは裾のほうに倒します。

羽織の上げ

被布のあげ

袴にはズボン式の「馬乗袴」と、スカート式の「行灯袴」の2種類があります。ここでは袴の内側がごろごろせず、すそさばきの楽な「行灯袴」の着付けを載せています。「馬乗り袴」の場合も着付けは同じ。着物の丈を短く着せて、袴からはみ出さないようにします。五歳のお祝い着は、袴をいかにうまく着せるかがポイントです。

【きものをを着せます】
         

 

 

1.
足袋をはかせ、ランニングの上から補正をします。タオルを四つ折りにし、腰の上のくぼんでいる部分にあて、紐で固定します。
  2.
長襦袢を着せます。袴をはくので丈は短めにし、襟をきっちり合わせます。あらかじめ肩上げをし、しつけ紐をつけておきます。
 

3.
肩上げをしたきものを着せます。半襟は1~1.5cm出し、丈はおはしょりをして短くし、紐は後ろの中央で結びます。

         
【帯を結びます(一文字結び)】(クリックで拡大画像)
         

 

 

4.
角帯の端20~30cm分を二つ折りにし、後ろ中央の位置で押さえ、ウエストに二巻きします。二つ折りの部分が手になります。
  5.
二巻きしたら手を上から下ろして一結びします。手が左上に、たれが右下になります。
  6.
手を直角に立ててしっかり結べたら、羽根の長さを15cmぐらいに決めて内だたみにし、結び目の上にのせます。
         

 

 

7.
中央にタックを寄せて羽根の形をととのえ、手先を平らにして羽根の中央をくるりとくるんで上に出します。
  8.
手先をもう一度結び目の上からかぶせ、帯の内側に差し込んで下から出し、幅を広げます。
  9.
羽根の部分が横になって帯の上にのるように一文字に形を整えます。手の先を帯の中に折り込んでおきます。
         
【袴を着せます】(クリックで拡大画像)
         

 

袴をいかにうまく着せるかがポイント !

 

 

10.
袴をはかせ、前紐を帯の上端を合わます。すそはくるぶしくらいの丈が形がよいでしょう。
  11.
前紐を後ろに回し、後ろ帯の上で交差させます。
  12.
前に回した紐はウエストより10cmほど下がったところで、右を上にして交差させます。
         

 

 

13.
下側の紐(左)をクルリと上側に折り返し、そのまま左右の紐を後ろに回していきます。
  14.
後ろに回した紐は、後ろ中央の帯結びの下でリボンに結びます。ほどけたりしないようにしっかり結ぶことがポイントです。
  15.
後ろ袴の腰板にはへらが付いているので、へらを結んだ帯の上側からさし込んで固定します。
         

 

 

16.
後ろ袴の紐は前中央で前紐の下にさし込みます。左が上、右が下になるように交差させます。
  17.
紐の両端を子供に持たせ、袴の丈、帯の位置など全体のバランスをみます。
  18.
下の紐(右)を前紐をくるむように上からさし込んでギュッと結びます。もう一度さし込んで二度結びしてもかまいません。
         

 

 

19.
左の紐は7cmくらいの長さになるように端からくるくると巻き、横にして前紐の中央にあてます。
  20.
もう一方の紐の先を上からさし込んで下から出して締めます。さらにもう一回巻いてから締めます。
  21.
下側に出た紐の先を折り返してもう一度上に出し、さらに十文字になるような長さに折って輪にし、前紐にさし込みます。