・うえだつむぎ [上]
織物の名称長野県上田市
上田紬とは、絹織物の一つ。長野県上田市で産出する、縞柄を主とした紬織り着尺である。各地の紬産地と比べ、歴史的には古く寛文年間(1661~72)と伝えられている。縞織物で、上田縞ともいう。 厚地で丈夫な縞紬である。
起源は明らかではないが三百年ほど前から織られていた織物で、江戸時代の文化年間(一八〇四~一八一八)から天保年間(一八三〇~一八四四)にかけて最盛期を迎えた。京、大阪まで販路を広げ、上田から上方へ「紬飛脚」が仕立てられるほどの隆盛ぶりだった。また、当時の上田紬は藍染系の縞柄で、碁盤縞(格子縞)が主体だった。
明治以降衰退を続けたが、戦後、金井章次氏らの努力により復活し現在に至っている。
現在は、糸紡ぎも織もほとんどが機械化され縞柄も豊富である。
  
・うえつしなふ [羽越しなふ]
山形県/鶴岡市 、新潟県/岩船郡山北町・織物の名称
日本では、遠く縄文や弥生時代から山野に自生する科(しな)、楮(こうぞ)、楡(にれ)、藤(ふじ)、葛(くず)、苧麻(ちょま)などの草木から取り出した繊維で糸を作り、自家用として布に織り上げ衣装や装飾品などに利用してきました。明治、紡績技術の発展による綿製品の普及から多くの地域で生産されなくなりましたが、当地地域においては長く着流しや農作業等の仕事着として利用されるとともに、漁網、漉し布、敷布や収納袋としても流通していました。
     
・うかしぞめ [浮し染め]
浮し染めとは、色流し染めともいわれ染料または顔料を樹脂などのアルコール溶液に混ぜて水上に浮かせ、これを吹いたり針先で動かして流動模様をつくり、この上に紙または布を置いて色を吸いとらせて模様を染める方式である。墨を流したものは墨流し染めという。
   
・うきおり [浮織り]
経糸か緯糸のどちらかを地の布から浮かせて模様を織り出す技法です。模様の部分の糸が浮いて刺繍のように見えるのが特徴です。文様が刺繍のように立体感豊かだが、糸が引っかかりほつれ易いので注意。表袴、子供・若年者の装束、特に指貫などに使われる。
  
・うきもん [浮文]
古代紋織りの一種。浮織の文様のこと。紋の部分になる経糸を浮かして織り上げた綾織のもの。古来より綾地が多いため、浮線綾(ふせんりょう)とも呼ばれている。
   
・うこんげた [右近下駄]
下駄の一種で、高い歯を設けず、靴底のように台の底を平らにしたもの。昭和になってから作られたタイプで、アスファルトの道でも歩きやすいのが特徴。
   
・うこんぞめ [鬱金染]
染色の名。生姜科に属する、うこん草から採取した染料のなで、転じて色名となった。青味がかった強い黄色である。うこん草は西インドや中国の南部に産する多年草で、根茎を黄色染料に用いる。日本では沖縄などの温暖な地で栽培されている。
    
・うさぎもん [兎文]
文様名 →紋様のページへ
   
・うしくびつむぎ [牛首紬]
織物の名称・石川県/白山市
牛首紬の名は、その生産地である白山の麓の牛首村(現在の石川県白峰村)の地名に由来します。平安時代末期の平治の乱で敗れた源氏の落人大畠氏が、牛首村に逃れて来て山城をかまえた時、同行していた大畠氏の妻たちが機(はた)織りに優れていたため、その技を村の女性たちに教えたところから始まったと伝えられています。文献では江戸時代初期の「毛吹草」の記述が最初です。江戸時代後期には全国に広く販売されたと言われており、昭和10年前後に生産のピークを迎えました。
    
・うじょうつむぎ [烏城紬]
織物の名称・岡山県
大正初期から岡山市内で作られています。手紡ぎ、手織りのため繊維のばらつきが多く、独特の光沢と素朴な味わいを出しています。緯糸(よこいと)に生糸をより合わせて巻き付ける「からみ」と呼ばれる伝統の技で織り上げる。烏城紬は寛政10(1798)年、塩分に強い綿の栽培が盛んだった児島湾干拓地(現在の岡山市灘崎町)で起こった袴(はかま)地織りが始まりとされている。保温性に優れ、光沢のあるしなやかな感触が特徴で、現在は着物のほか、小物入れやテーブルクロスなどの生活品としても好評という。
   
・うしろおび [後帯]
近世前期において、背後で結んだ帯姿のことをこういった。既婚者は前で結ぶ前帯もあった。
  
・うしろなが [後長]
袴の寸法用語。袴の前丈(紐下)よりも後丈を長くする長さのこと。後長=後丈(腰板の付け根から裾まで)-紐下  体系により加減するが、普通の男子では行灯袴で8cm、襠付袴で8.4cm後長をとるのが標準。

・うしろひだ [後襞]
袴の後ろ側にある襞。男袴の見かけ上の後ろ襞は一つ、女袴は三つ又は五つ、神官袴は四つ。
   
・うしろみごろ [後ろ身頃] 
着物の身頃で、肩山から後ろ側の部分の名称。後ろ巾は背縫いから脇縫いまでの巾をいう。
    
・うすおめし [薄物御召]
糸づかいや織り方に工夫をこらし、盛夏用に作られる御召。さらっとした風合が特徴である。薄物の一種だが、絹や紗、上布のような本格的な薄物ではない。
   
・うすぎぬ [薄衣]
細い糸で織り上げた、薄い地風の絹織物の総称。絽や紗、透かし織りなどがこれにあたる。主に夏用の衣服に用いられる。薄御召もこれに属する。
   
・うずどんす [雲珠緞子]
雲珠緞子とは、名物裂の一つ。柄地に白茶より黄色みがかった藍までの緯糸で雲状の渦を織り出す。緯糸の変化で地色の変わるおもしろさをいかした近代的な造形感覚から、中国明代の製織と思われる。
   
・うずまきもん [渦巻文]
渦巻文とは、幾何学的文様のうち曲線文様の一種。<ruby><rb />螺旋(らせん)状に巻かれた曲線文様。未開の人類が本能的に描く表現形式の一つで、古代の発掘品に往々みられる。
文様名 →紋様のページへ</ruby>
  
・うすもの [薄物]
絽や紗、薄御召のように透ける布地の総称。経糸や緯糸の密度を粗くして、風通しを得ることと、色や柄でも涼感を工夫する。
   
・うすものじたて [薄物仕立て]
絽や紗などの薄物の仕立て方をいう。一般に薄物の仕立ては、縫い目がつれたり、伸びたりしやすく、透けるために縫い代の始末が難しく、高度な技術を必要とする。、透けても見苦しいくないように、肩当てをごく小さくしたり、居敷当てをつけず背伏せ布で背縫い代を包んだり、褄(つま)先を額縁などにしたり、羽織の裾は三つ折りにする。
   
・うずらおめし [鶉御召]
鶉御召とは、鶉縮緬(うずらちりめん)と同じ組織で織り上げるが、縮緬は後染めであるが、御召は先染めである。現在、生産が途絶えている。
   
・うずらちりめん [鶉縮緬]
縮緬の種類のひとつです。しぼが荒く大きいのが特徴で、「鬼縮緬」「鬼しぼ縮緬」ともいいます。
経糸は生糸で、緯糸に強い右撚りの糸を4~6本と、同じ本数の左撚り糸を交互に打ち込んでいきます。逆方向に撚られた糸が隣り合うことでしぼが生じます。この緯糸の本数が多くなるほど、しぼが大きくなっていきます。主に風呂敷や袱紗、化粧座布団地などに用いられています。
    
・うそつきじゅばん [うそつき襦袢]
一般に二部式襦袢や半襦袢の一種で、着用して見える袖だけを絹や化繊などの襦袢地を用い身頃を晒し木綿で作ったものをいう。
   
・うたえもんよう [歌絵文様]
歌絵文様とは、葦手文様と同じように、文芸的性格をもち、和歌をふまえたもの。ー首の意味を象徴的な形や絵様にするものと、その歌の一句の文字を書き入れる両様がある。成立は葦手文様とともに平安時代中期とされ、扇絵やその他の調度類にもほどこされた。
  
・うちあげ [内揚げ]
のちのちの必要に備えて、あらかじめ裏で縫い込んでおく長着の縫込み分をいう。たとえば男物長着は対丈に仕上げるので、仕立て直しの際、汚れた裾を切り捨てることができるように、帯の下になる位置に、6~10センチ内揚げをする。また女物長着では、衿肩を2センチ繰り越すために、後ろ身頃に4センチ縫い込むもの。丈が長すぎる場合は、前身頃もの縫込みをすることがある。それらを内揚げという。
  
・うちかけ [打掛]
近世武家女子の夏以外の礼装で、小袖の上に打ち掛けて着る表着〈ウワギ〉をさす。形は小袖と同形で、袿〈ウチキ〉からきた言葉といわれている。現在では、花嫁衣裳・舞台衣裳にのみ用いられている。四季の花を主体にした総模様のものが多い。関西地方では、かいどりともいわれている。
     
・うちぎ [袿]
婦人の古服の一種。平安時代の貴婦人の盛装で、広袖のきもの。袿の名は唐衣(からぎぬ)の下に着る内着、打ち掛けて着ることによっての名である。儀式などの晴れの日は、袿に裳(も)をつけ、唐衣を重ねる。常の日は袿を上着とする。
  
・うちぎばかま [袿袴]
婦人の古服の一種。明治以降の女官の正装。十二単から唐衣(からぎぬ)、裳(も)を略して長袴を切り袴にした装い。白小袖に緋の切り袴をつけ、単
   
・うちこみ [打込み]
織物の緯糸(よこいと)の密度のこと。「打込みがあまい」とか「打込みが悪い」というふうに、地風を表現する。

・うちひも [打ち紐]
打ち紐とは、組み紐と同じだが、やや古語に属する語。組み紐をつくるときに、へら状のもので、組み目を詰めるために打つことから打ち紐という。
   
・うちわもん [団扇文]
文様名 →紋様のページへ
   
・うつしぞめ [写し染]
捺染方法の1つ。写し・糊写しともいう。型紙を用いて、染料を加えた糊を布面にヘラで型付けし、模様を出す染色方法。手工捺染・型紙捺染と同様。また、筆や刷毛で写糊を布面に手描することもある。
     
・うつしのり [写し糊]
写し糊とは、色糊のことで、糊に染料などを混合し、布に直接模様をあらわすことができる。1880年前後に発明され写し友禅に利用、発展して現在は種々の捺染糊として応用されている。
   
・うつしゆうぜん [写し友禅]
写し友禅とは、手捺染友禅、型付け友禅、型友禅ともいう。本来の手描き友禅に対し、型紙を使い、染料を混合した写し糊によって模様を印捺し染め出す友禅のこと。
   
・うねおり [畝織]
平織りの変化組織。経糸か緯糸のどちらかを太くすることで布面に畝のような凹凸を表した生地。畦折とも呼ばれている。
   
・うねめしょうぞく [采女装束]
采女装束とは、大嘗会(だいじょうえ)、新嘗会(しんじょうえ)など儀式の際に奉仕する後宮女官を采女といい、その女官たちが着る服装を采女装束という。
  
・うばおくみ [姥衽]
鈎衽裁ち(かぎおくみだち)の一種で、片面物の総尺の足りない場合の処理法の一つ。鈎衽に裁つが、下前の衽はつまむ必要がある為、つまみの分長めに裁つ事。

・うぶぎ [産着・初着]
産衣とも書き、「うぶぎぬ」の略語。新生児に初めて着せるきもの。
          
・うまげた [馬下駄]
馬下駄とは、下駄の一種。一材でつくり裏を大きく六角形にえぐった連歯下駄の一つ。
   
・うまのり [馬乗り]
動きやすいように衣服の裾・縁(へり)の部分に入れた各種の切り開きのこと。スリットのようなもの。乗馬の際、両足の開きを楽にする為に切り開いたことからきた名。現代の和服では肌襦袢、柔道着にある。
   
・うまのりはかま [馬乗袴]
襠有袴・襠付袴・襠袴ともいう。乗馬の際、またぎやすく、馬上でスネを出さぬように襠を高くした時代もあったが、現在では30~36cm(8寸~9寸5分)の襠高が標準である。用尺は並巾で10m前後(2丈6尺~7尺)
   
・うめがえし [梅返し]
和服の表裏の取り合わせ方で、元禄時代、羽織の裏に紅梅色の生地を用いるのが流行した。

・うめぞめ [梅染め]
梅染めとは、梅の樹皮や根で染めること、および染めたもの。赤みのある茶色から黒みの茶色までを得る。室町時代より加賀の梅染めが有名。
  
・うめもん [梅文] 
文様名 →紋様のページへ
   
・うよくもんよう [有翼文様]
ゆうよくもんようとも読む。実在の生物としては、翼をもつことが考えられないものに、翼をつけた表現をしている文様である。古代において、天空は神秘に満ち、人々にとって、太陽や月は信仰の対象になることが多かった。その大空を自由自在に飛びまわることのできる翼は超能力を示し、地上の強力な獣や人体と結びつくことにより、いっそう迫力を増し、また神聖視されることとなった。

・うらうち [裏打ち]
伸縮の著しい布に、一定の張りを与えたり、その状態を保つために、裏に別布などを当てて、補強したりすること。絞りのしぼが失われないように、裏から薄地の布を当てたりする。
        
・うらうちじたて [裏打ち仕立て]
表布の裏に別布を張り、この二枚を一枚として仕立てる方法。絞り染地などは、この方法を用いて仕立てる。
   
・うらうめ [裏梅] 
文様名 →紋様のページへ
   
・うらえり [裏衿]
女物着物を広衿仕立にするとき裏衿をつける。布は胴裏地から裁ち合せる。裏衿の衿先には裾回しと同じ布をつける(衿先布) 絹、化繊、木綿、麻等の平織りの布が裏衿用として市販されている。夏物には絽を使う。
     
・うらぎぬ [裏絹]
生絹を精錬したものを裏絹という。裏絹には本耳と節絹の二種類があり、本耳は主に埼玉、福島で、節絹は群馬、長野、福島、茨城で生産する。節絹が玉糸を原料とするのに対し、本耳は正繭である。糸好絹と同じ。
   
・うらじ [裏地]
袷仕立ての表地に対し、その裏側に付ける布をいう。和服の裏地は普通、胴裏・裾回し(八掛)・羽裏など、それぞれ専用に織られている。裾回しには、着る人の好みや、表地との配色によって選び、無地・ぼかし染・柄物などがあり、羽裏は羽織を脱ぐことを配慮し、すべりがよく、色柄の美しい豪華な模様を染めた額裏をつけたものがある。また、表地を裏地として用いる場合もあり、無双と呼ばれている。
   
・うらじま [裏縞]
二重織にして裏を縞柄にした織物。洋傘地や広幅毛織のオーバー地などにも多いが、和服では「紗」のコート地などに利用することがある。

・うらづまもよう [裏褄模様]
江戸褄模様が表裾になくて、裏八掛の両褄にだけ付く模様のこと。
   
・うらもよう [裏模様]
きものの模様付けの名称。江戸時代後期に行われた、小袖の裏にのみ模様をつけたものをいう。江戸時代に幕府の倹約令で、着物の模様が地味になったため、反発心からでたもの。
     
・うらはく [裏箔]
きものの模様付けの技法のひとつ。絽や紗(盛夏用のきもの)のように透ける布地の裏から箔置きで模様を描いたもの。格調の高さと品のよさを感じさせる表現方法である。
   
・うらもよう [裏模様]
柄の付け方からの名称。  画像と解説はこちらへ
   
・うらもん [裏紋]
陰紋に同じ。表門に対する語で、紋の輪郭線を細い線で表したものをいう。略式の紋となる。
   
・うらやなぎ [裏柳]
襲(かさね)の色目で、表は白、裏が萌黄。
   
・うらやまぶき [裏山吹]
襲(かさね)の色目。表は黄、裏が紅または青、あるいは表が黄朽葉で裏が青の組み合わせ。
   
・うらくぎれ [有楽切]
織田有楽斉の秘蔵の緞子の名物裂。花色地に同じ薄色の細かい網目地紋を配し、その上に雲竜または雲鳳などの模様を飛紋に白く織り出したもの。

・ウールおめし [ウール御召]
絹にかわってウールで織った御召ということだが、しかし本来、御召は「御召縮緬」 のことである。つまり地が縮緬だが、ウール御召は縮緬ではない。ウール地に御召の感じを取り入れた先染のウール織着尺と考えれはよい。御召のイミテーションともいえるが、むしろ御召とはまったく別のもの、といったほうがよさそうだ。
   
・うるしいと [漆糸]
漆の箔を切断して、綿糸に撚りつけたもの。漆糸を模様に織り込んだ意匠白生地は、漆糸の部分が染めつかないので、後から好みの地色に染めることができる。また、帯地などに用いて金糸、銀糸に漆の光沢の豪華さを得る方法として利用されている。
   
・うるしはく [漆箔]
鳥の子紙(良質の和紙)に漆を塗った光沢のある箔。細く裁断して帯地などに織りこみ、豪華な効果を上げるために用いられる。
   
・うろこもよう [鱗模様/鱗型]
文様の名称。三角形が交互に入れ替わって、互いに地と模様の部分を構成する、幾何学的な模様である。重ね方で三つ鱗、五つ鱗などと呼ばれ、織物や染物の文様として古くから用いられてきた。厄年の女性が厄除けとして、鱗模様を身につける風習があった。能衣装では摺り箔で、鱗模様を表し(鱗箔)、女の執念を表す模様として、蛇身や鬼女の役柄に用いる。また、厚板にも使われ、鬼畜や悪霊に用いる。
   
・うわえ [上絵]
本来は仕上げの絵という意味で、下絵に対する語。きものに紋を描きいれること。白く染め抜いたところに、墨や顔料で紋を上書きすることをいう。これを職業にする人を上絵師、上絵屋という。
   
・うわえり [上衿]
「掛衿」のこと。「共衿」ともいう。

・うわかこう [上加工]
染色用語。染め上がった模様の上から、さらに胡粉や顔料で加工して、染め効果を高めることをいう。染め替えの技術でいう上加工は、もとの布地をそのまま生かして、その上から染加工をすることをいう。
     
・うわまえ [上前]
着物の部分名称。きものを着て前を合わせた時に上になる部分。左身頃の前身の部分。
   
・うわもん [上紋]
織物上に描き出す文様のことだが、特に二陪織物の地紋の上に配した文様を指す。
   
・うんかく [雲鶴]
模様の名前。雲と飛んでいる鶴とを配合した模様。おめでたい柄なので「丸帯」などに用いられる。

・うんげん [運]
暈し染めのこと。1つの色を濃色から淡色へ断層的に重ねて彩色する手法。また、1つの色以外にも、よく似た色を順に並べて仕上げる技法も、繧繝と呼ばれている。また織物で模様の色をこの式にくま取っていくものを暈繝錦と称する。
    
・うんさいおり [雲斎織]
備前の人雲斎が創始したという綾(あや)織の綿織物。津山などで作られた。ドリルともいう。現在は化繊,合繊も用いられる。小幅で地厚のものは丈夫で足袋底に用い(雲斎底),帆布や作業服にも適する。
   
・うんしゅうもめん [雲州木綿]
江戸後期、出雲の簸川地方では直江村(現・斐川町)では毎月6回、2と7の日に木綿市が立った。また、平田町(現・出雲市)の木綿市も賑わい、文政5年(1822)は約22万反の取引があり、京都の豪商三井家が多くを買付けていたと言われる。出雲平野の集落では主に素木綿(もともめん)の白木綿を主に副業で織っていた。白木綿の盛況で村々に表紺屋(おもてこんや=布を藍染する)が増加、明和8年(1771)の『出雲郡万指出帳』に紺屋22軒の記載。明治期の23年の雲州木綿は353,459反(島根県農商務統計表)まで上昇している。しかし手紡綿糸製の雲州木綿は明治17~18年から次第に減産、市場では紡績糸へと移行して行く。明治30年代に紡績糸による新商品「八雲縮」を伊野波村(現・斐川町)で考案したが、大正10年に商品は消えた。雲州木綿も大正年間に商品取引は終えたようである。
戦後、雲州木綿をしのぶように平田市(現・出雲市)で、昭和61年から土江弥生氏が平田木綿織りに取り組んでいる。
   
・うんもん [雲文]
文様名 →紋様のページへ