・ばいしぼり [貝絞り]

絞り染の一種。麻糸で巻き上げて絞ったもの。巻いた形がばい貝に似ていることからの名称。

・ばいせん [媒染]

染色の際、繊維に染料が染着しない場合に、媒介することを媒染といい、媒介する薬剤を媒染剤という。天然染料で染める場合などによく用いられる。媒染剤を用いて繊維に染着させる方法を媒染染法と呼ぶ。

・ばいんだー(加工) [バインダー]

一般に顔料や金銀箔などの固着剤の総称。繊維に接着するため、皮膜性や接着性を与えるために増粘剤、乳化剤や解媒などを樹脂に配合したもの。
黒引き染めでは、金彩加工のための接着剤を染色前の柄付けや糸目の変わりに置いてあり、染色後の金加工の際には、糊が不要にとなり加熱、加圧するだけでよい。同一柄の量産の場合の統一性がはかられる。

・はうら [羽裏]

羽織の裏地のこと。並幅で丈は4.36m~5.15mあり、大人物の中羽織、本羽織に必要な用尺になっている。上等の絹物には羽二重、綸子などで、無地・暈染・柄物のほか額裏がある。普段用には甲斐絹、綿甲斐絹、人絹、化繊、交織などを使用。羽裏は表地よりも派手な色や柄のものをつけることが多い。これは江戸時代に庶民が絹物を禁じられていたころ、見えない所で絹をつけたことの名残が、現在まで続いている。

はえばるつむぎ [南風原紬]

織物の名称・
南風原町は「かすりの里」といわれている。ここで産出される琉球絣は沖縄の伝統的な織物工芸として全国的にも有名だ。南風原町はその産地として栄えてきたのである。
南風原町には12の字があるが、 琉球絣は町内の本部、喜屋武、照屋の隣接する三つの字を中心に生産されている。

・はえばるはなおり [南風原花織]

織物の名称・
大正時代まで織られ昭和に入ってからは織られなくなった南風原花織りは、2001年から復元作業が始まった。1998年県指定伝統工芸品に認定

・はおり [羽織]

和服の一種で長着の上に着るもの。膝くらいの丈に仕立てたものを本羽織という。現在では用尺が少なくて済む中羽織が多く着られる。男性礼装は紋付羽織を着用、女性の紋付羽織は略装になる。女性の晴着として絵羽羽織がある。

・はおりした [羽織下]

袖なし胴着のこと。防寒、保温のために羽織の下に着用するもの。その形態は、衿なし、袖なしの胴着で、羽織からはみ出して見えないように前幅は狭く、丈は短く仕立てる。軽くてすべりのよい生地を用い、真綿や合繊綿を入れる。

・はおりひも [羽織紐]

羽織の胸あたりにつける紐。

・はおりはかま [羽織袴]

上衣には羽織を、下衣には袴を着用した着装のことをいい、男子用礼装である。

・はかたおり [博多織]

織物の名称・福岡県福岡市 
鎌倉時代、博多商人が僧侶とともに宋の時代の中国に渡り、織物技術を持ち帰ったのが始まりです。江戸時代になると、現在の福岡県の大部分にあたる筑前国の領主であった黒田長政が博多織を毎年幕府に献上したことから「献上博多」と呼ばれました。
男帯である角帯の博多献上、女帯では単帯、献上博多帯があります。仏具の一種である独鈷(とっこ)が並んだ、独鈷模様が特徴で、着付け小物の伊達締めなどにも用いられています。博多では袋名古屋帯も生産されています。
厚地の平織絹織物で、締めても締めくずれのしない帯地。
独特の絹なりと光沢、それにしゃっきりとした張りをもつ経糸を密にし、太い緯糸を強く打ち込んで、経糸を浮かせ紋様を表す。博多織は大別すると、献上博多織(本献上ともいう。独鈷、華皿を図案化し縞を組み合わせたもの)と、紋織博多織(多彩な色彩を用いた華やかなもの)の二種類に分けられる。 
    *独鈷 密教で用いる法具の一種で、両端がとがった短い棒。煩悩を打ち破る意味を表している。
    *華皿 仏具のひとつ。香を炊くのに用いる皿。

・はかたすずし [博多涼]

博多産の絹綿交織織物の一種で、縮緬としたもので、昔は夏着尺用であった。

・はかたひら [博多平]

織物の名称・福岡県福岡市 
絹袴地の一つ。博多織風の地合いをもつ男袴地。絹袴地として、最も多く生産された。

・はかま [袴]

下半身に両足を別々に通してつける衣のこと。股の無いもの裳(も)という。古墳時代の男子の袴は太いズボンのようなもの。飛鳥時代にはゆったりとした形で裾口を紐でしぼるようにした奴袴、又は指貫といわれるものを着用。平安時代には直衣や狩衣に用いられる。室町時代以後形を整えて、長・短、いろいろな種類の物ができる。江戸時代になって、平袴・襠高袴・馬乗袴・踏込袴・野袴などが出来、南蛮風の裁付袴・細袴なども出来た。明治以後、羽織袴が男子の正装となる。女子の袴は平安時代、袿形式の衣に袴が着用された。鎌倉時代以後に宮廷装束が簡略化され、衣袴・小袖袴となり、近世まで儀礼的なものとして宮廷・神社の女子に用いられた。現在男物には襠袴と行灯袴がある。襠袴は紋付羽織と組合わせて正装用に、行灯袴は普段着に着用。生地としては袴用に織られたものを用いる。仙台平・五泉平・山辺里平など。

・はかましたおび [袴下帯]

帯の一種。袴の下に閉める男性用角帯のこと。後ろで横一文字に結び、その上に袴の腰板を載せると安定し、形よいふくらみが出る。

・はぎもん [萩文]  

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・はく [箔]

金属の持つ展延性〈てんえんせい〉を利用して、薄い膜状になるまでたたいて延ばしたものを箔という。特に、金や銀は展延性にすぐれ、貴金属という高級感からも好まれ、古くから、箔の材料として用いられている。

・はくいと [箔糸]

和紙に金箔を貼り付けて、ごく細く裁断したもの。平金糸ともいう。佐賀錦や金襴、そのほかさまざまな織物に用いる。帯地にも緯糸として多く用いられ、華やかさを添える効果がある。

・はくおき [箔置き・箔押し]

箔押し、古くは摺(すり)箔ともいった。金属箔を布地に部分的に粘着させて模様をあらわす操作である。

・はくくくり [箔くくり]

金彩加工の1つ。模様の輪郭などを金銀箔線で描いていく技法をいう。

・はくさんつむぎ [白山紬

白山紬は、もともとは石川県白峰町で織り出された紬(現在の牛首紬)でしたが、今は金沢市近郊にある織元独自の登録商標となっています。白山紬は力織機で織られたもので、高価な牛首紬とは異なりますが、風合いがとても良く似ています。染め上がりの艶(ツヤ)、頑丈な地風、裾さばきの良さなど、牛首紬に勝るとも劣らぬ豪華な質感があります。紬でありながら光沢があり、渋さと華やかさと、その両方の趣が楽しめます。

・はくとおし [箔通し

金・銀の糸を織物の一方の耳から他方の耳まで全幅を通して織り上げたもので帯地に多い。地が金銀に光って豪華な感じを与える。

・はけ [刷毛]

染色用具の1種で、染刷毛とも呼び、鹿毛、馬毛等で作られている。形状は、丸刷毛・平刷毛・小刷毛に分類される。丸刷毛=毛先が円形で、鹿毛を4手に括くることから四手刷毛〈よつでばけ〉ともいい、大小で大丸〈だいまる〉・中丸〈ちゅうまる〉・小丸〈こまる〉と呼ぶ。引染、摺込用などに使用。平刷毛=毛先を手にして2枚の板ではさんだもので、敷糊や地入れ、引染などに適する。小刷毛=竹柄の先端に毛をはさんだもので、主に挿友禅用に用いる。その他に片端刷毛などもある。

・はけももよう [刷毛目模様]

文様の名。千両を含ませた刷毛で、さっとはいたような、細縞のかすれのある模様。

・はこせこ [筥迫 筥狭子]

懐に入れて持つ女物装身具。紙・櫛・楊子・小銭などを入れるもの。最初は紙入れだったが、だんだん携帯用の装飾品となる。筥迫の名称が生まれたのは宝暦以前で、奥女中、中流以上の武家婦人の正装用懐中物として用いられる。金襴・厚板・ビロード・羅紗などで作られた。現在では花嫁衣裳や七五三の女児の正装用アクセサリーとして残っている。

・はしだてちりめん [橋立縮緬]

丹後(京都府)の宮津地方で織られ、「天の橋立」から名をとった。普通の「縮緬」より「シボ」が深く、「うずら縮緬」に似た感じのものである。

・はじゃく [羽尺]

羽織用に織られた丈の短い生地の総称。着尺に対する語。

・はじゃく [端尺]

規定の長さのない和服地、短尺ともいう。機織りの織終りに残る端切れや、何か仕立てたあとに残る端切れで着尺(長着がちょうど仕立てられる長さ)だけないもの。

・ばしょうふ [芭蕉布]

糸芭蕉の繊維で織った布。沖縄本島喜如嘉を主に、竹富島に産し、夏の着尺地、座布団地、蚊帳(かや)地などに用いられる。茎から皮を取り、それを木炭(あく)を煮つめた液につけて、また煮出し、皮の不純物を除去する。水洗い後、竹製の道具で皮をしごき繊維質だけにする。その後、糸染めをするが染料にはテカチ(奄美大島ではテーチキ。車輪梅のこと)と泥藍(どろあい)の植物染料を用いる。絣(かすり)の場合は括(くく)り絣の技法によって糸染めしてから織る。芭蕉布は宮古上布、八重山上布、久米島紬などとともに江戸時代貢納布として織り続けられてきたものである。

・ばしょうもん [芭蕉文] 

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・はすもん [蓮文]

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・はだじゅばん [肌襦袢]

和服用の肌着。長襦袢の下に着用。肌触りがよく、汗を吸収し、通気性が有り、洗濯のきく生地が良い。晒木綿で単仕立やガーゼで袷仕立てのものがある。

・はたしょうつむぎ [秦荘紬

織物の名称・滋賀県愛知郡秦荘町蚊野外
近江上布に受け継がれていた「櫛押絣技法(くしおしかすりぎほう)」と呼ばれる特殊技法を、真綿紬糸に取り入れたものが秦荘紬です。厳選されたまゆ3000個からつむいだ糸を藍で染め、独特な技法で丹念に織り上げていきます。年数を経るごとに秦荘紬独特の色合いや風合いが出て美しさを増すといわれ、ファンも多いです。
 秦荘紬は、養蚕の技術を習得し、農業と共に機織り・養蚕によって生計を立て、春秋には養蚕をおこない冬には機を織り、そのほとんどが自給自足で良い繭は売りさばき、余った繭は自家用に糸を紡ぎ、糸に出来ない屑繭は真綿にして綿入れなどに使った。紡いだ糸で織り上げた「おかいこさんの着物」をひそかに着たと伝え聞く。
 大正から昭和の初めにかけては、農家の女性は嫁入り支度に自ら機織りをして着物を用意したと伝えられており、それが秦荘紬のはじまりである。

この地域は6世紀に大陸から渡ってきた秦氏が機織りの技術を伝えたことから、養蚕が盛んであった。良い繭は売り、絹糸にならない不良の繭「屑繭」から糸を紡いで、織った「紬」を自家用に着用していた。この絹織物に近江上布(麻織物)に受け継がれる「櫛押絣(くしおしがすり)技法」という特殊な染織技法を取り入れ、織り上げたのが秦荘紬である。1品(反物)を仕上げるのに約1ヶ月を要する。

・ばちえり [撥衿]

女物長着の衿形の一種。広衿と棒衿の中間として工夫されたもの(広衿はかさばりやすく着付けが難しく、棒衿は胸元がはだけやすく貧相に見える)。衿肩明止りから下へ向って衿巾が広がるので、三味線の撥になぞらえてこの名がある。

・はちじょう [八丈]

絹織物の一つ。東京都八丈島で生産される黄八丈を中心とする、絹織物のこと。八丈紬ともいう。また秋田八丈などのように、これに類似した織物のこともいう。経糸と緯糸に練り糸を使い、島に自生する刈安やマダミなどの植物染料を使って、黄色、鳶色、黒などに染色したもの。黄色に染めた黄八丈、鳶色に染めた鳶八丈、黒に染めた黒八丈などがあり、その品質の良さは早くから知られ、着尺地、布団地、座布団地として用いられてきた。

・はちまいしゅす [八枚繻子]

経緯糸それぞれ8本で単位組織を完成している。八枚は、綜絖八枚を示すことから名づけられた。

・はっかけ [八掛]

女性用の袷長着や綿入れなど、裾裏につける布。裾回しともいう。総丈を身頃4つ、衽2つ、衿先2つ、合計8つに裁ったことでこの名がある。女物の袷長着や綿入などの裾や袖口、衿先の裏に付ける裏地のこと。裾まわしともいう。表地と共地でつける場合や別布を使う場合がある。別布では五泉の精華パレス生地が最も多く用いられる。暈しや無地、柄物がある。変わり無地縮緬やチェニー、両駒などの生地も用いられる。

・ばっせん [抜染]

あらかじめ「浸染」(ひたしぞめ・しんせん)した織物に酸化剤または還元剤を混和した捺糊を印捺し、その部分の色を酸化または還元して抜色する方法。抜き染めとも言う。この場合地色を完全に抜くのを「白色抜染」、淡色で残すのを「半抜染」、抜染した部分を新たに着色するのを「着色抜染」または「抜き写し」という。のれん・旗・風呂敷など、地色の部分が大きく簡単な図柄のものの染に適している。

・はっすんなごやおび [八寸名古屋帯]

幅八寸(約30センチ)に製織し、縫製しないで結びの部分のみ折り返してかがった、厚地織の帯

・はったん [八端]

絹織物の一つ。経糸に諸撚りの撚糸を、緯糸に片撚りの撚糸を用いて、山形斜文や、破れ斜文、また、大きな格子を織り出した厚手の絹織物。八端織の略称。黄、茶、黒などの縞や格子柄が多い。丹前地、夜具地、座布団地、風呂敷などに用いられた。八丈島産の八反掛けから出た名称という。

・バッタン

(ひ)に紐をつけ、その紐を引くと滑車によって抒が送り出され、左右運動を繰り返す飛抒装置のこと。1733年、イギリス人のジジョン・ケイル、によって発明された。わが国へは明治初期に輸入され、明治十年代から次第に地方へもジャカードとともに普及した。
それまで緯糸(よこいと)を通すのに、左右の手を交互に使って抒を投げていたが、バッタンの登場で片手が解放されたため、能率は倍加した。また、手による投抒と異なり、自動的に抒が移動するため、熟練した技術なしに均一した品質が得られるようになった。

・はつねもん [初音文]

 

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・はっぴ [法被・半被]

江戸時代に下級武士や仲間が着用した、裾の短い上着。印半纏のこともいう。また能装束の一つ。武将や鬼神に用いる。

・はっぴこーと [ハッピコート]

「袢纏」「羽織」からヒントを得て外国人向けに創製されたもの。富士山・桜などを刺繍や染で背中に表した袢纏風のコート。輸出または観光外国人のお土産用である。

・はつりめ [把釣孔]

綴れ織の緯糸が布幅全体に通らず、経糸を境にして二本以上の緯糸の色糸が互いに接するとき、経方向に生じる隙間のこと。把釣の目とも称している。手織の綴れ組織にだけ生じるもので、他の織物には見られない。

・バティック

インドネシアのジャワ島と、その近辺の島々で作られるろうけつ染めの布で、ジャワ更紗(さらさ)とも呼ばれます。インドネシア語でイカットはろうけつ染めを意味し、一般的にもろうけつ染めを総称してバティックと呼ぶ場合が多いです。

・はとばいろ [鳩羽色]

藤色に似ているが、山鳩の背羽色より、この名がついた。大正初期に流行した。→鳩羽色のページへ

・はないかだ [花筏]

散った桜の花びらが帯状に水に浮かんで流れて行くのを筏に見たてた文様のこと。  文様名 →紋様のページへ

・はないずみなんぶつむぎ [花泉南部紬]

織物の名称・岩手県一関市花泉町
南部紬白地は、昭和43年天皇皇后両陛下並びに秩父宮紀殿下に献上、昭和62年に岩手産業まつり特産品コンクールで金賞を受賞したもので、特徴は草木等の植物を染色の原料としているので、素朴で野趣に富み、ふっくらとしてスベリのないのが特徴です。
 江戸時代、盛岡藩の振興策により城下を中心に盛んに織られており、戦後県の産業として再興すべく、紬糸使いの本格的な手機による南部紬の制作に取り組んできた。その後、クルミ、ハシバミの木、現在では紫根など各種の植物を染料にした紬を織るようになり現在にその技法が継承されています。

・はないろ [花色]

(はなだ)色の略。藍染で得られる赤みを帯びた深い青。紺ほど濃くはないが、鈍い青から鮮やかな青までのいずれをも含む呼称。昔、露草の花で染めたので、この名が残っている。→縹色のページへ

・はなお [鼻緒]

ぞうりや下駄などの履物の部分名称で、台にすげられた緒(紐)のこと。現在ではエナメルや佐賀錦、ビロード、刺繍を施した縮緬などの素材や色、太さなど、豊富に出揃う。近年は花緒と表記することもある。

・はなおおぎもん[花扇文]

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・はなおり [花織]

沖縄で織られる特有の浮き織物をいう。経糸が緯糸を浮かせて、小さな四角の点模様を織表す。産地は、読谷村、首里、与那国で、それぞれに特徴のある花織が作られている。

・はなかごもん [籠文]

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・はなぐるまもん [花車文]

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・はなこん [花紺]

よく冴えた明るみを持った紺色をいう。男物の裏、夜具裏などに使われた。花紺青。

・はなだいろ [縹色・花田色]

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・はなのしもん [熨斗文]

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・はなまるもん [花丸文]

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・はなみまく [花見幕]

本来は、花見のときに張る、宴のための幕のこと。元禄時代には、婦人の豪華な小袖を幕代わりに掛け渡すようになり、江戸風俗として親しまれた。小袖幕、花見小袖ともいう。

・はなむすび [花結び]

組紐による、飾り結びの一種。丸打ち組紐を花の形や植物の形に結んだ飾りで、衣服、袋物、水引、茶壷や社寺などの幕に飾りとして用いる。二つ輪結び、三つ輪結び、梅結び、蝶結び、わらび結び、新橋結び、菊結び、玉房結びなどの種類がある。また、女帯の結び方のひとつのこともいう。文庫結びの羽根を大きく広げた帯び結びのことも、その華やかさから花結びと呼んでいる。

・はばだし [幅出し]

織物仕上げ工程中(精錬・染色・漂白など)に湿り気を帯び、幅・長さの収縮をきたした織物を幅出し機を用いて補整修復すること。また仕上げ後の織物も縮緬・御召などは織り方の関係で湿気を帯びると縮むことが多いので、この場合も幅出しを行う。普通蒸気により多少の湿気を与えながら、機械で織物の両耳を引っ張り長さを修正し、歪みを正した後乾燥する。

・はぶたえ [羽二重]

羽二重餅に代表されるように、羽二重はきめ細やかで滑らかなものの代名詞のように使われます。このきめ細やかさは経緯ともに無燃(平糸)の生糸を使い、製織時には「湿し緯」または「濡れ緯」という、水に濡らして膨潤させた緯糸を織り込む技法を用いてしっかりと打ち込むことによって生まれるものです。主たる産地は新潟県五泉市。主たる用途は男物紋付、襦袢、法衣。

・はまぐりもん [蛤文]

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・はまちりめん [浜縮緬]

浜縮緬の産地、滋賀県長浜市は、元亀元年(1570年)六月の浅井・朝倉連合軍と織田・徳川の連合軍の、一族の命運をかけた合戦で有名な姉川と、それに合流する高時川の流域にあり、古来より両河川はたびたび氾濫を繰り返し、一帯に洪水の被害を与えていました。この被害を防ぐ目的で辺り一帯には多数の桑が植えられており、これを飼料とする養蚕も古くから盛んに行われていました。その後の宝暦二年(1752年)京都丹後より製織技術を導入し始まりました。しかし宝暦四年にはこの田舎絹の京への進出を不快に思った西陣の訴えにより販売禁止とされてしまいます。その後の藩の努力もあり、今では後染用白生地の高級産地として名高く、無地縮緬各種を中心に生産を続けています。

・はまつむぎ [浜紬

織物の名称・滋賀県
長浜地方では元明天皇の和銅年間すでに綾絹が織られ、その歴史は古く、また琵琶湖の水は世界屈指の軟水の宝庫で他産地にまねの出来ない天恵を受けています。
 浜縮緬が縮緬界の最高峰として、八丁撚糸機による独特の撚糸を使用した一越縮緬、古代縮緬、変わり無地縮緬、浜紬などがあります。
男性の羽織、婦人用コート地などに用いられる。

・はら [腹]

帯を締めた時、胴回りの前の部分のこと。太鼓に対する語。

・はらあわせおび 合わせ帯

帯びの一種。表と裏が異なる布地によって、仕立てられた女帯のこと。昼夜帯、くじら帯ともいう。昼夜帯参照。

・はらおび 

妊婦がした腹に巻く帯のこと。晒(さらし)木綿を二つ折り幅にして用いる。岩田帯ともいい、妊娠五ヶ月目の戌の日に、締めるとよいとされている。

・ばらもん [薔薇文]

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・はりぼし [張干し]

乾燥の一方法。羽二重等の平織織物に用いられる事が多い。反末を縫い合わせ、生地を輪状にして、両端に張り棒と呼ばれる丸竹を通して引っ張り、縄で柱に固定して乾燥する。経方向に張力が加わるため、布表面の光沢を増し、布に腰をもたせ、小じわを伸ばす等の利点がある。自然乾燥であるため、風合いが良く染着性に優れている。

・はりつけもん [貼り付け紋]

家紋表現法の一つ。無地のきものや羽織に、同地質の別裂に紋を描いたものを切り抜き、貼り付けて、周りを糸で留めたもの。切り付け紋ともいう。

・ぱれすちりめん [パレス縮緬]

パレス縮緬は古代縮緬や錦紗縮緬と同様に二越系統の縮緬で、左右の片撚り強撚糸を緯糸に、右右左左というように二越ずつ平織りに織り込んで作ります。ただし、経緯ともに錦紗縮緬よりもさらに細い糸を、より密に織り上げることから「シボ」立ちが抑えられ羽二重のような平滑な外観と上品な光沢を得る事が出来ます。昭和時代には全盛を風靡しましたが、現在では長襦袢用もあるが、裏使いがほとんどです。主たる用途は八掛地。主たる産地は新潟県五泉市。

・はんえり [半衿]

長襦袢の衿に掛ける布片のこと。女物長襦袢に今日の半衿形式の掛衿をするようになったのは江戸時代中期から。主として民間で行われた。江戸時代後期には刺繍を施した凝ったものが現れた。明治~大正にかけては着物の色柄が地味であったため、半衿に模様をつけることは服飾美の重要なポイントであった。生地は、綸子・縮緬・塩瀬・紗・絽・麻など。

・はんコート [半コート]

和装用コートの一つ。塵除けと、ある程度の防寒を兼ねて着用する。丈の短い外出用上着。羽織よりも50cmぐらい長いのが普通で、主として春や秋のものである。素材、形、色、柄は、着ていく場所や目的によりさまざまで、防寒用のものもある。

・はんじゅばん [半襦袢]

長襦袢の上半分に相当する、体の上半分に着用するもの。

・はんぞめ [版染]

木版染めのこと。文様を浮き彫りにした木版に、染料をつけて捺染すること。インドのブロックプリントと同じ。版を広義に解すれば、木材以外に金属や紙など、いろいろな材料で作った版を用いたものまで含まれる。

・はんてん [半天・半纏・袢纏]

きものの上に防寒、あるいは職業を表すために着る上着。

・はんのうおおしま [飯能大島]

織物の名称・
文政年間に開発された仮締染色法、1本1本柄合わせをしながら織る緻密な柄が特徴。板締絣の技術は秩父ではもう無くなってしまいましたが、秩父で板締めの技術を身につけた方達が始めたのが飯能大島です。飯能大島も今は作ってるところが1件しかない、貴重なものです。

・はんのうななこ [飯能斜子]

絹織物の一つ。武州(埼玉県)飯能町を中心として産出された白地の練り斜子のこと。
※男物羽織地。
※斜子織(ななこおり)とは、平織の変化組織で経糸(たていと)緯糸(よこいと)ともに、二本以上並べて織った絹織物のことです。厚地でふっくらした感触の織物で、主に帯地に用いられています。七子織、魚子織とも書きます。

・はんはばおび [半幅帯]

女物の帯の一種。普段着・浴衣・羽織下などに用いられる。普通の帯幅は八寸だが、半幅帯は並幅を二つ折りにして4寸の幅に仕立てる。半幅の袋帯を小袋帯という。結び方は貝の口、文庫など。

・はんよう [半洋]

「丸洋」に対する言葉で、麻織物に使われる。経糸に「紡績糸」、緯糸に「手紡ぎ糸」を使うなど半分だけ機械糸を使用した織物。「半洋紺絣」「半洋白縞」などと称される。