「鉸具」とは、革帯の端に付けられた金具のことで、馬に乗る時に足を乗せる鐙(あぶみ)やバンドの尾錠(バックル)がそれにあたるものです。鉸具は埼玉県の稲荷山古墳をはじめ、全国の古墳から副葬品の一つとして発掘されており、馬とともにわが国に伝来したとおもわれます。
 
 家紋を見ると「轡(くつわ)」「馬櫛(まぐし)」など馬具から生まれたものが数種ります。むかし、馬は弓とともに「弓馬の術」と呼ばれて、武士にとって欠かせない表芸でした。「鉸具(カコ)」紋は馬に乗ることを「鐙を履く」ともいわれるところから、武士が出陣のとき最初に足を踏み出すところでもあるわけです。そのような武に通じる道具であることから家紋に採り入れられたと考えます。一方、「鉸具(カコ)」が必ず力帯に付けられるものであることから、「力」を表すシンボルとして家紋になったという説もあります。
 

参考資料 講談社「家紋と家系辞典」他

 
         

鉸具

鉸具に雁金

鉸具

鉸具に雁金

鉸具に巴