着物のリフォーム

 

まずは生地をチェックし、次にリフォームの方法を考える

Ⅰ. 生地のチェックポイント

生地の強度・用尺のチェック

  • 生地の端を強く引き、強度を確かめる。生地の端を少し濡らして手で裂いてみるとわかりやすい(すぐ切れると強度不足で仕立てなおし不可)
  • 身丈分の用尺があるか(多少少ないときは、仕立て方の検討で可能)
  • 裄が生地幅で取れるか。(時代により生地幅が違うので。足らないときは衿の生地を用いて袖剥ぎする仕立て方もある)
  • 色ヤケやシミ、キズ・汚れのチェック(各箇所に糸印をつけるとよい)
  • 残り布がある場合は、足し布にできるか確認

Ⅱ. リフォーム例と注意点

きものからきもの

 ① 繰り返し

  • 裏返しにする。紬、お召し、浴衣、ウールなどの表裏のないもの。
  • 前後の身頃を入れ替える。
  • 内あげ位置にて断ち切り、転地を入れ替えたり各身頃を入れ替えるなど、きものの傷み具合により、繰り回し方を考える。

 ② 身丈出し

  • 帯下の内あげ部分か、おはしょりの袋の中で足し布で接ぎを入れる。この場合、衿下の位置と紐を締める位置(褄下からどのくらい上か)など正しい寸法を仕立てる側に知らせることと、表布に似た色柄の足し布を用意することがポイント。

きものから長コート

  • 長尺の羽裏が必要になり、袵を竪衿に使用するため山のところに接ぎが入る。その裏にも共衿を使うので接ぎが入る。

きものから道行コート

  • 竪衿に接ぎが入り、新しい羽裏が必要になる。

きものから羽織

  • 衿山に接ぎが入る場合がある(衿丈と身丈による)。新しい羽裏が必要となる。

きものから道中着

  • 新しい羽裏が必要となる。衿に、きものの地衿や共衿、袵を使用するので、長さによっては、下前の衿に接ぎが入る。

きものから名古屋帯

  • 見えないところに接ぎが入る。小紋、付下げ、訪問着など、どのようなものからでも可能です。

きものから男物や女物の長襦袢

  • 生地(地厚すぎると重くて不向き)、柄がふさわしいかが問題。あわせ袖が半無双になる。

きものからその他

  • 水屋コート、作務衣、うわっぱり・半纏・座布団・かいまき・小物などに仕立てます。

羽織から道行きコート

  • 新しい羽裏が必要。衿が半幅だった場合は、竪衿の裏に足し布が必要。

羽織から道中着

  • 裁ち方の関係で、身幅の合わさりが浅くなる。新しい羽裏を用意する。衿が半幅だった場合は、襟の裏に足し布が必要となる。

羽織から名古屋帯

  • 締めた姿からはわからないところに接ぎが入る。

※ 上記以外にもリフォーム方法はたくさんあります。詳しくはお問い合わせください。

 

この記事は「婦人画報社」1995年版・2004版から引用しています