楽器文(がっっきもん)



笙(しょう)[写真の左下]や阮咸(げんかん)[同右下]、大太鼓(火焰太鼓(かえんだいこ))、箜篌(くご)[同左上]、琵琶、篳篥(ひちりき)、笛など雅楽を演奏するときに用いる楽器を文様化したものです。古典の楽器は美しいもので、染織品に使うときは極彩色にします。典雅な形には品格があり、晴着に向く文様となります。小紋風に小柄に表現して楽器尽くしとしたり、草花を添えて表現することもあります。また、王朝の雅に通じる文様なので、秋草に横笛と琴を組み合わせて謡曲の『小督(こごう)』、紅葉や幔幕に大太鼓を取り合わせて『源氏物語』の「紅葉賀(もみじのが)」の一場面を暗示したりすることもあります。

楽器文 ※拡大画像

この記事はアシェット婦人画報社2003/10から引用しています。