人形手紬地金襴(にんぎょうてつむぎじきんらん)



「人形手」という呼称は、一般的には、人物が文様に表されていると、人物文様と呼ばれているが、茶人は人形手という。従っていちごの文様は「いちご手」という。 別に他の金襴と異なるところはないように思われるが、紬地には、よほど精巧な織技で調和する文様を織り出さないと、作品の品位を落とすものになるが、この人形手金襴にはその難しさを卓越した技法で製織され、ほのかな気品を添えている。 然しその美しさには、きびしさを感じさせる作品が多いが、この金襴には華麗であっても一番親しみやすい感じがもてるようで茶の裂地に選ばれたのもこの感覚がその理由であろうと思われる。制作年代は明末期のものである。

人形手紬地金襴 ※拡大画像