利休緞子(りきゅうどんす)


千利休愛用の名器とされる黒漆塗りの棗(なつめ)の袋裂に使用されて、今日まで伝えられている裂であるが、これを利休緞子という。 五つの点と、それぞれを無造作に結ぶ線の構成によって、梅花を表象しているが、心憎い鮮やかな意匠といえよう。単なる点とも考えられる丸い形で梅花を形成し、一種の気魄気魄(きはく)と、自信と、安定性さえ感じられる。誇り高き梅花模様ではあるまいか。この緞子は、明時代の作品である。

利休緞子 ※拡大画像