万暦緞子(まんれきどんす)



緞子は中国で創案されたもので、わが国に舶載されたものには、古くは宋時代の製作のものもあるが、これはごく僅少で、多くは明時代、いわゆる近渡りのものであるが、茶道の上において最も多く使用されているものの一つである。 中国明時代の万暦年間に織られた特徴のある緞子で、文様はいかにも中国的であり、織味も素朴で渋い裂で、非常に洗練されたものを感じさせるところに、万暦緞子の特徴があるといえよう。 制作年代は明時代後期と思われる。このほかに文様の違った裂で、同じ名称のものがあるが何れも同じ時代に、製織されたものと思われる。

万暦緞子 ※拡大画像