蜀江錦2(しょくこうにしき)


丹陽記に「歴代尚未有錦而成都独称妙 故三国時魏則市於蜀 呉亦資西蜀至是始乃有之」とあって、三国時代には魏も呉も蜀の錦を求めた様である。 成都近郊で、染色、製織され、幾何学文様に各種の花文様等を出していたが、宋時代以降は定型化した文様となった。左右対照の文様構成で整正な感じを受ける。 この様な文様には、普通かたさが強く感じられるものであるが、この作品にはそれがない。明初期の作品と見られるが、味気ない文様を扱って、これほど高い格調を出している織技は非凡であり、またこれを好んだ茶人たちは、確かに高い鑑識眼を備えていたといえよう。

蜀江錦2 ※拡大画像