雲頭連環亀背花章文錦(うんとうれんかんきせかしょうもんにしき)


前田家十三代藩主斉泰公所用の、荒磯日の出陣羽織の裏裂として伝えられるものである。文様は六角形でつなぎ文様としている。この文様と亀の甲との結びつきは、かなり古くから用いられて、すでに平安時代には、この文様を瑞祥文として衣服、器物などに盛んに用いられていたとみられ、六角型つなぎと亀背、延寿、瑞祥思想との結びつきは、古く根強いものである。この亀甲型つなぎ文様に、唐花文を明るく中間色で展開させている。中国清時代初期の渡来裂と伝えられている。いかにも大陸らしいおおらかな美しさに心打たれる名品である。

雲頭連環亀背花章文錦 ※拡大画像