金地宝尽之金襴(きんじたからづくしきんらん) 【金襴】


細密な入子菱は織り出されており、地色で、宝尽くしの輪郭をあらわし、紋形は平織とする。宝尽くしは福徳を招来するものとして、中国では「八宝」と称されて名物裂に多用されている意匠である。 瑞祥的な意味も多分にある宝尽くし文を、巧みな文様構成に織り出した金襴裂である。文様だけでなく地場全面を金糸でうずめているこの金地金襴は、まさしく豪華絢爛というべき作品であり、金箔紙の織り込み技術は熟練を要するものであるが、さすがに一糸の乱れも見られないこの織技はまことにすばらしい。普通の金襴と異なり、地場も金糸でうずめているため、文様の表出に苦心が払われている。豪華性と気品のある美しい裂といえよう。

金地宝尽之金襴 ※拡大画像