蝶文(ちょうもん)



虫類の文様が少ないきものの中でも、蝶は形が美しく、色が美しく、舞い飛ぶ姿の可憐さなどから奈良時代以来、様々に文様化されてきました。揚羽蝶は有職文様のひとつで、平家ゆかりの家々の家紋としても知られています。また能装束や小袖に多数用いられ、現代でも振袖から小紋、ゆかたや帯柄などに広く好まれています。古い蝶の文様には蝶鳥文と呼ばれる、燕の形をした鳥と組み合わせたものが多く、今では神社の帳の、赤と黒の飾り紐に見ることができます。そのほか薄や露芝、牡丹との組み合わせなども見られます。

蝶文 ※拡大画像

この記事はアシェット婦人画報社2003/10から引用しています。