動物文様

長いひげと腰の曲がった様子からこの字があてられました。長寿の象徴として「海の翁」とも呼ばれました。伊勢海老はその豪華さから祝いの文様としてたいへんこのまれました。
         

海老

海老

海老

海藻に海老

海藻に海老

 

 

 

 

 

 

海老に松葉

海老丸

海老に霰

波に海老

破れ亀甲に海老

         

       

流水に海老

       
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

貝はそれぞれの形が美しいのでそのまま写実的に貝尽くしなどの文様に用いられることが多くあります。蛤は夫婦和合のシンボルとされたのはあまりにも有名です。
         

板屋貝

法螺貝

貝尽くし

伊勢浦

       

 

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

蜻蛉は前にしか飛べないことや、目玉の大きなところから強さと俊敏さを表し、勝虫と呼ばれました。そのため武士に好まれて、武具の文様によく用いられました。
         

勝虫

勝虫

勝虫

勝虫

勝虫

         

 

勝虫の絣

勝虫に桜

勝虫に桜蝶

勝虫と蝶

 
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

 

亀は、古くは方角を示す四神の一つで北を示す「玄武」として中国から伝わりました。また、鶴は千年亀は万年生きたとされ、長寿の象徴として好まれました。海神の使いともいわれたことは承知の通りです。いろいろなバリエーションがあります。
         

氷割れに亀

流水に亀の子

流水に亀の子

         

 

銭亀

亀甲

流水に亀

葦亀

流水に葦亀

         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

冬の渡り鳥、ガン。雁金(かりがね)ともいわれます。冬空を鍵形になって飛ぶ様は人の心をひきつけるものがあり、中国ではよい知らせ、幸運を運んでくれる鳥とされました。雁が音(かりがね)とも表されます。
         

あけぼのの雁

結び雁金

雁金

雁金に星

雁金に星

         

 

雁の斜め縞

飛雁(ひがん)

落雁(ひがん)

芦に雁

芦に雁

         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

中国の故事では黄河の龍門の急流を登ることができた鯉は龍になるとされていて、出世の象徴とされました。日本でも激しい波文との組み合わせ文様が、多く見られます。
         

 

花に鯉

流水鯉

鯉の滝登り

 
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

魚文は、魚がたくさんの卵を産むところから、さかなにあやかって、子宝に恵まれるとされで親しまれてきました。
         

鯛に桜

鯛の鯛

鯛丸

魚に扇

         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

鳥の中で人間に一番身近なすずめは、様々に文様かされました。「舌きり雀」の童話から竹との組み合わせや、稲穂に雀の組み合わせなど、人間の暮らしと結びついた文様や雀の形の面白さなど多様に用いられています。
         

笹に福良雀

笹に福良雀

福良雀

花に雀

群雀

         

 

籠に雀

雀に稲穂

竹に雀

竹に雀

         

竹に雀

 

竹に雀

竹に雀

竹に雀

竹に雀

 
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

勇猛な鷹は武人に好まれ、鷹狩りなどが行われました。鷹の羽根は強く形がよいので、矢羽根にも使われたところから、羽根の形を象徴化して鷹の羽文様が生まれました。また、鳥の羽は清浄とされ茶道の道具としても使われます。
         

鷹の羽

鷹の羽

鷹の羽

鷹のつめ

竹菱に折れ鷹の羽

         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

群れて波間を飛びかい、高い音で鳴くかわいい千鳥の姿は子どものきものなどに多く使われます。千鳥文様は平安時代から描かれたとされていますが、江戸時代には単純化された文様となり、さらに親しまれるようになりました。
         

波千鳥

波千鳥

波千鳥

波千鳥

波千鳥

         

 

波千鳥

千鳥に帆掛舟

千鳥の鳥襷

群千鳥

群千鳥

         

千鳥に重ね枡

流水千鳥

水鳥

水鳥

分銅繋ぎに千鳥

         

       

龍安寺

       
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

蝶は昆虫の中でも色の美しさ形のおもしろさ、舞う姿の優美で華麗なことから、多くの人たちに古くから親しまれてきました。文様としては腸の形の変化や花などのイメージを重ねて、見立て文様として楽しまれました。
         

蝶散らし

         

蝶散らし

松蝶

藤蝶

結び柏蝶

萩蝶

         

湖蝶

湖蝶

向い蝶

蝶の縞

蝶の縞

         

 

菱蝶

向い菱蝶

向い菱蝶

木の葉菊蝶

銀杏蝶

         

蝶に菊

菊蝶

菊蝶

菊蝶

桜に蝶

         

桜に蝶

桜に蝶

萩に蝶

花に蝶

楓に蝶

         

群湖蝶

霰(あられ)の蝶

風蝶

鮫の蝶

蝶丸

         

秋野に花と蝶

揚羽蝶丸に牡丹

菊に紋入り蝶

花に蝶

花に蝶

         

芝草に蝶

露芝に蝶

秋野に蝶

秋野に紋入り蝶

竹縞に蝶

         

竹縞に蝶

絣に蝶

忍草に蝶

絞り蝶と龍爪・蛇玉

蝶尽くし

         

群蝶

群蝶

藤蝶

蜘蛛の巣に蝶

葎(むぐら)に蝶尽くし

         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

優美に飛びかう姿は初夏の風物詩ともいえます。季節を表す文様として大変好まれました。家の軒先など身近なところに巣を作り、害虫を食べる益鳥として、今も親しまれています。
         

柳に燕

柳に燕

群燕

雨に燕

柳格子に燕

         

       

花と柳に燕

       
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

丹頂鶴の高貴で優美な姿は神秘的な鳥として尊ばれ、吉祥文様の代表として広く親しまれました。鶴は選任を乗せて飛ぶともいわれ、亀とともに長寿の象徴としても多くの文様が考案されました。丸や菱の連続文様や他の動植物との組み合わせ文様も多くあります。
         

菊鶴

梅鶴に松

松に鶴

松鶴

梅鶴に松

         

梅鶴に松葉

舞鶴(飛鶴)

舞鶴(飛鶴)

木の葉鶴に松葉

向い鶴菱

         

向い鶴菱

分銅繋ぎ向い鶴菱

向い鶴丸

菱に鶴

鶴の巣籠り・三つ巴鶴

         

鶴丸

鶴丸

舞鶴

舞鶴

舞鶴

         

     

舞鶴

鶴に菊唐草

     
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

古くは中国で尊ばれた想像上の瑞鳥〈ずいちょう〉で、麒麟〈きりん〉・竜・亀と共に、四瑞とされています。鳥の王と位置づけられ、雄を鳳、雌を凰と称し、名君によって天下が泰平になれば現われると伝えられています。桐の木にすむとされ、現在でも吉祥文として祝儀の衣装に多く用いられています。
         

   

雲に鳳凰

鳳凰

鳳凰・尾長鳥尽くし

   
         
         
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

龍は中国古来の神仙思想に由来する想像上の動物で、鳳凰とともに瑞獣の代表とされてきました。天使の袍(ほう)の文様のほか、服飾品にも数々取り入れられています。正倉院裂にも意匠化され、室町から江戸にかけての金襴、緞子、能装束や、歌舞伎衣装にも多く見られます。
         

雨龍

雨龍

富士越龍

雨龍

         

蜀江に雨龍

巻き水に雨龍

網干に雨龍

向い雨龍菱

雲に雨龍

         

     

雨龍丸

雲龍に麒麟の縞

     
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。

 

そのほか、陸上の動物で型染の文様に用いられるのは、兎や犬などの愛玩動物のほか、吉祥文様のとしての蝙蝠などがありますが、その種類はあまり見られません。
         

くじゃくの羽根

ひよこ

真向兎

         

兎と杵

波兎

蜂と兎

亀甲唐草に兎 

         

鼠に臼

         

三筋立に蝙蝠

月に蝙蝠

珠通し地に蝙蝠

紋入り蝙蝠

縞に蝙蝠

         

格子に蝙蝠

蜘蛛

蜘蛛の巣

竹に虎

馬と桜

         

   

雲に尾長鳥

尾長鳥

   
         

「日本の文様染めの型紙」 熊谷博人/編 クレオ/出版 2006.10 より引用しています。