鹿の角は形が優美で、戦国時代の武将は好んでかぶとの前立に用いたとされています。鹿は古くはシシ、または「カ」といっていた。とくに雌鹿を「メカ」というのに対して雄鹿をセカといった。この「セカ」が「シカ」に転じた。鹿は神の使いとして信じられていた。特に奈良の春日神社の鹿は昔から有名である。鹿島の神が鹿に乗ってきたものとされている。安芸の厳島神社、諏訪信仰の鹿もよく知られている。鹿角は、戦国時代の武将たちが兜も前立として用いた尚武の心から家紋に用いられた。
 紋の形は、抱き角・抱き角丸などがあるが、枝角の出方で、家々の区別をつけている。枝角のない袋角が違いになったものもある。
 鹿紋は清和源氏の諏訪氏、桓武平氏良文流の君島氏が用いた。ほかに、藤原氏秀郷流・清和源氏・未勘源氏の近藤氏が使っている。いわば近藤氏の代表紋である。近藤氏の祖神が春日神社に祭られているところからきたのかも知れない。
 

参考資料 講談社「家紋と家系辞典」他

 
         

鹿に楓

鹿

鹿

夫婦鹿

二頭鹿

         

抱き角

丸に抱き角

かげ抱き角

四つ又抱き角

抱き角に日足

         

抱き割角

抱き鹿角に菊

丸に違い袋角

六つ袋角

三つ割違い角

         

糸輪に覗き抱き角

細輪に三つ又抱き角

違い角

外割抱き角に蔦

抱き角に五三の桐

         

抱き角に一つ巴

角万字

陰抱き角

違い角

石持ち地抜き抱き角

         

       

変わり抱き角