6月(水無月)

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JUNE

≪水無月≫

命を潤す長雨の季節
生き物の喜びを感じて
光溢れる夏を迎える

六月

6 月

 参考・引用 : 自由国民社「現代用語の基礎知識」より引用しています

  ◆ 芒種(ぼうしゅ)  

 芒種(ぼうしゅ)は、二十四節気の1つ。または、この日から夏至までの期間。新暦6月6日ごろ。冬至から167日目で6月7日ごろ。
 芒(のぎ 、イネ科植物の果実を包む穎(えい)すなわち稲でいう籾殻にあるとげのような突起)を持った植物の種をまくころ。五月節。暦便覧には「芒(のぎ)ある穀類、稼種する時なり」と記されている。実際には、現在の種まきはこれよりも早い。この頃は麦の刈り取りや田植えなど、農作業が忙しくなる時期。ちなみに全国で田植えのピークが最も早いのは沖縄で3月上旬頃、最も遅いのは九州、四国地方で6月中旬頃。西日本では梅雨入りのころとなる。

   
  ◆ 夏至(げし)  

 一年で昼の長さが最も長くなる日。二十四節気のひとつで新暦6月21日頃。冬至から182日目で6月22日ごろ。冬至(12月22日頃)に比べると、昼間の時間差は4時間50分もあります。(夏至: 昼14時間35分/夜9時間25分 冬至:昼9時間45分/夜14時間15分‥いずれも 東京の場合) 暦の上では夏にあたりますが、実際には梅雨でうっとうしい時期です。また、日本と 違って暗く長い冬が続く北欧では、この日は特別の喜びを持って迎えられ、各国で 盛大に夏至祭が行われます。
 中国では邪気や厄病を祓うため、夏至に粽(ちまき)や麺類を食べる風習がある。関西地方では夏至から11日目ににあたる半夏生に、稲の根が蛸の足のようにしっかり根付いて豊作となるように祈って蛸を食べる風習がある。太陽の恵みに感謝し、夏の到来を祝う夏至祭が各地で行われる。

   『夏至今日と思ひつつ書を閉ぢにけり』(高浜虚子)

   
  ◆ 入梅(にゅうばい)  

 入梅を意味する雑節の一つ。芒種から5日目、立春から数えて135日目に当る6月11日頃の時期をいいます。新暦6月11日頃。暦の上では芒種(新暦6月6日頃)の後の最初の壬(みずのえ)の日で、梅雨明けは、二十四節気の一つである小暑(新暦7月7日頃)の後の最初の壬の日とされる。
 しかし、実際は毎年同じ日に梅雨入りがくるわけでは無く、地域や気候によって差が生じるため、気象庁の出す「梅雨入り宣言」が実際の梅雨入りの目安になっています。

   
  ◆ 夏越の祓(なごしのはらえ)  

 六月の最終日。一年の上半期の最後の日。六月の晦日の神事。夏越の祓はまた、水無月の祓(みなづきのはらえ)とも呼ばれ、昔は、名越の祓と書いた。大晦日の「年越しの祓え」とともに罪や穢れを祓う「大祓え」と呼ばれる風習。
 夏越の祓の行事としてよく見られるものが、「茅の輪くぐり」。茅(ちがや)で大きな輪を神社の境内に作り、この茅の輪をくぐることで病気や禍を免れようと言う神事です。「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延というなり」と唱えながらこの輪を、先ず左足から踏み入れ 8の字を描くように 3度くぐるのが正しい茅の輪くぐり。

 

 ◆ 貴船祭(きふねまつり)    

 毎年6月1日に行われる京都・貴船神社の例祭。貴船神社は水の神を祭り、水に浮かべて文字を読み取るおみくじや縁結び、丑の刻参りの伝説など、古くから神秘的な神社として知られている。祭りでは五穀豊穣と無病息災を祈って「乙女舞」が奉納され、本宮から貴船川上流の奥宮まで神輿が出る。
 貴船祭りは、明治維新以前に旧暦4月1日と11月1日の年2回行われていた御更衣祭 (ごこういさい)に起源し、4月の祭の頃は、付近の山間に虎杖(いたどり)が繁茂し、神職らが摘んでその多少を競い合ったことから、俗に虎杖祭(いたどりまつり)と呼ばれていました。
 往古には、この両祭に勅使御差遣(ちょくしごさけん)の儀があり御神衣を献進されたが、中古より賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)[京都の上賀茂神社]の摂社としての存在を強いられ、祭祀(さいし)もまた同社神職によって奉仕されてきました明治4年太政官達(だじょうかんたつをもって貴船神社の社格は官幣中社(かんぺいちゅうしゃ)となり、以後両祭をあわせ新暦6月1日を例祭日として貴船祭と称し行なわれています。尚、御更衣祭は現在、新暦の4月1日と11月1日の年2回小祭としておこなわれています。 

   
 ◆ 時の記念日(ときのきねんび)  

 6月10日。『日本書紀』には671年の旧暦4月25日に宮中で漏刻(水時計)が設置されたことが記されており、これが日本における時報の起源とされる。この日は新暦6月10日にあたり、1920年(大正9年)から「時の記念日」と定められた。時の祖神とされる天智天皇を祀る滋賀県大津市の近江神宮では、毎年6月10日に漏刻祭(ろうこくさい)が行なわれる。また、日本標準時の基準となる子午線が通る兵庫県明石市では、時の記念日にちなんでさまざまな行事が行われている・

   
 ◆ 父の日(ちちのひ)  

 普段存在のありがたみを忘れられがちなお父さんに感謝を表す日。6月の第3日曜日。1909年にアメリカ・ワシントン州スポケーンのソノラ・スマート・ドッドが、彼女を男手1つで自分を育ててくれた父を讃えて、教会の牧師にお願いして父の誕生月である6月に礼拝をしてもらったことがきっかけと言われている。 
 最初の父の日の祝典は、その翌年の1910年 6月19日にスポケーンで行われた。当時すでに母の日が始まっていたため、彼女は父の日もあるべきだと考え、「母の日のように父に感謝する日を」と牧師協会へ嘆願して始まった。
 母の日の花がカーネーションなのに対し、父の日の花はバラ。ソノラ・スマート・ドッドが、父の日に父親の墓前に白いバラを供えたからとされている。
 日本では1950年代頃から知られていたが、母の日に比べるとなぜか印象の薄い日。何を送ったらよいか決めにくい、バラを送っても喜ばないなどが理由としてありそうです。

 

  ◆ 川明(かわあき)  

 鮎釣が解禁されること。夏の季語。5月末から7月、各河川を管理する漁業協同組合が設定した竿釣の

川明

解禁日には、特に友釣りの愛好者が一斉に繰り出す。関東地方では6月1日に川明を迎えるところが多い。川に入るときには、所定の店で入漁券(入川券、遊魚証などとも呼ぶ)を事前に購入し、携帯する。太公望たちが待ち望む、夏の一日。

 

  ◆ 新生姜(しんしょうが)  

 薬味として一年中味わえる生姜の中で、根がまだ固くなっていない6月から8月に出回る瑞々しい生姜

新生姜

を新生姜という。全体に白い部分が多く、その白い部分と紅い部分の色彩がはっきりとしたもの、しっとりとしたものがよいとされる。甘い味が特徴。新陳代謝を高め、発汗を促進し、胃腸を整える作用のほか、殺菌作用もあり、古くから薬用に用いられてきた食品。生姜は秋の季語となっている。

 
   
  ◆ 青梅(あおうめ)  
 梅は立春の頃に花を咲かせることから春の季語となっているが、その実は初夏に実るため、青梅、梅の実、梅酒、梅干などは夏の季語になっている。梅雨前に取れた青梅で梅肉エキス、その後、梅酒や梅ジュース、梅雨の雨を2、3回あてた梅で梅干し、そして梅煮作りと、梅の味わい方はさまざま。梅に含まれるクエン酸は血液をきれいにし、疲労回復や胃腸の働きを整えるなどの効果がある。

 

  ◆ 薪能(たきぎのう)  

 薪能(たきぎのう)は、主として夏場の夜間、能楽堂、もしくは野外に臨時に設置された能舞台の周囲にかがり火を焚いて、その中で特に選ばれた演目を演じる能。「薪の宴の能」の意。起源は平安時代中期にまで遡り、奈良の興福寺で催されたものが最初だという。興福寺では、現在5月の11日、12日に薪能が行われている。ただし興福寺では薪御能(たきぎおのう)と呼ぶ。また、薪御能の源流はあくまで神事・仏事の神聖な儀式であり、野外で薪を燃やせば薪能になるのではないとしている。
 戦後、再興したり新たに始める社寺が増え、その多くは5、6月ころに催される。特に京都の平安神宮や東京の増上寺の薪能は全国的に知られている。

薪能
   
  ◆ 水芭蕉(みずばしょう)  

 サトイモ科の多年草で、夏の季語。湿地に自生し発芽直後の葉間中央から純白の仏炎苞

水芭蕉

(ぶつえんほう)と呼ばれる苞を開く。これが花に見えるが仏炎苞は葉の変形したものである。仏炎苞の中央にある円柱状の部分が小さな花が多数集まった花序(かじょ)である。開花時期は低地では4月から5月、高地では融雪後の5月-7月にかけて。
 北海道網走湖畔、雨竜沼(うりゅうぬま)湿原にも群落がある。長野県の奥裾花(おくすそばな)自然園の群生は尾瀬を越える規模。

 

  ◆ 梔子(くちなし)  

 アカネ科クチナシ属の常緑低木。5月から7月にかけて白い花をつけ、強い香を放つ。野生では森林の

梔子

低木として出現するが、園芸用として栽培されることも多い。「梔子の花」は夏の、「梔子の実」は秋の季語。10月から11月頃赤黄色の実をつけ、染料や薬用として用いられるなど様々な利用がある。
 果実が熟しても割れないため、「口無し」という和名の由来となっている説もある。他にはクチナワナシ(クチナワ=ヘビ、ナシ=果実のなる木、つまりヘビくらいしか食べない果実をつける木という意味)からクチナシに変化したという説もある。
 花言葉は「幸福者・夢中・優雅・清浄・楽しい日々」。

   
  ◆ 泰山木(たいさんぼく)  

 モクレン科の常緑高木。北アメリカ原産。葉は長楕円形で大きく、革質で表面は濃緑色、裏面には

泰山木

さび色の密毛がある。5月から7月に手のひらほどもある大輪の白い花をつけ、強い芳香を放つ。「泰山木僕の花」は夏の季語。背が高いものは20m以上にもなり、その姿が立派なので中国の名山である泰山の名が付いたといわれている。
 何万年も前からほとんど姿を変えていない植物とみられており、「虫媒花(昆虫に花粉を運ばせ、繁殖する)」としてはかなり原始的なグループに分類されている。
良い香りも魅力の1つで、「ゲラン」「ジバンシィ」などの香水にも配合されている。葉を血圧降下・頭痛・めまいに、花粉症・頭痛には蕾を用います。

 

  ◆ 衣更(ころもがえ)  

 衣替えは季節に応じて衣服を着替えることをいい、季節の変化がはっきりしている日本特有の習慣で、古くからの宮中行事でした。現在では、気候に合わせて何を着ても自由と言う合理的な風潮になっていますが、和服では今もこの習慣が守られていて、その日の気候にかかわらず、6月1日からは「単(ひとえ)」、10月1日からは「袷(あわせ)」とされています。
 衣替えの習慣は平安時代の宮中行事から始まり、中国の風習に倣って旧暦の4月1日および10月1日に夏服と冬服を着替えると定め、これを「更衣(こうい)」と呼んだ。しかし、天皇の着替えの役目を持つ女官の職名も更衣と言い、後に天皇の寝所に奉仕する女官で女御(にょうご)に次ぐ者を指すようになったので、民間では更衣とは言わず衣替えと言うようになった。 季節による取り替えは衣服以外についても、女房(貴婦人)が手に持つ扇も冬は桧扇(ひおうぎ=ヒノキ製)、夏は蝙蝠(かわほり=紙と竹製の扇)と決められていた。鎌倉時代になると、更衣は衣服だけでなく調度品までとり替えることを含むようになった。 

   
  ◆ 夏のきもの(なつのきもの)  

6月から9月のきものは裏地をつけず、一枚仕立てにした「単」を着ます。さらに、盛夏には「単衣の時期」と「薄物の時期」があります。単衣の時期、すなわち6月と9月は、透けない単衣や紗に紗や絽をあわせた「紗あわせ」を着ます。6月は桔梗の紫や、アザミの赤、藍、寒色系の濃い色や白っぽい色、9月はもう少し黄味を帯びた色合いで、柄は露草や百合、9月になると秋草や虫かごなど涼しげな風物を、帯は紗や絽の袋帯、絽綴(9月)が最適です。
盛夏の7月と8月は、絽や紗などの透ける素材のものを着ます。盛夏用に仕立てられた麻もこの時期にふさわしいものです。紗、絽、塩沢紬は透けるがゆえに、手足が見えては美しさも台無し。そのため、きものにあった長襦袢を身につけ、また腰の部分にもう一枚布を貼り二重にするなどして、ぼんやりとした透け感を演出します。着付けはいつもより衿元を深めに、余分な皺が出ないようにきちんと着ることで、清涼感と清潔感、品格などが出ます。帯は、麻には麻、絽には絽、紗には紗の帯をあわすとよりよいでしょう。

 

【準備中】

  ◆ 季語(きご)  

6月の季語 : 初夏/麦秋/五月雨/梅雨/向夏・初夏の候 ・向夏のみぎり ・梅雨の季節を迎え など

 
   
  ◆ 誕生石(たんじょうせき)  

6月の誕生石・真珠、ムーンストーン

 
   
  ◆ 月の花(つきのはな)  

6月の花 : くちなし

六月の花 梔子

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花言葉は

「私は幸せ者」「とても幸せです」「優雅」「洗練」
「清潔」「喜びを運ぶ」