組紐に使用されている銀糸が変色しているように見えます

 

金銀糸は、ポリエステルフィルムにアルミを真空蒸着し、その上から透明の着色保護膜で覆い糸状に裁断したものです。このような症状の多くの場合、金銀糸特有の金属光沢がなくなっています。顕微鏡で観察すると、透明のポリエステルフィルムだけが見え、アルミ抜けを起こしています。また、この部分に水滴を落としてPHを測ると強い酸性になっていることがよくあります。何らかの酸性物質によって、銀糸のアルミが溶けてなくなってしまったものと思われます。
アルミは酸だけでなく、アルカリでも溶解する性質があり、たとえば、銀通しの生地で作られた着物の脇に付着した汗によってアルミ抜けが発生したこともあります。また、カビの分泌する強い酸でアルミ抜けがおこることもあります。